日本ソフトウェア科学会 第43回大会講演論文集

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日本ソフトウェア科学会 編

2026年9月7日~9月10日 公立はこだて未来大学

応用システム・信頼性 | 項書き換えシステム・形式理論 | プログラミング言語・言語処理系 | インタラクティブシステム | 形式検証・論理 | 機械学習工学 | 実行系・コンパイラ最適化 | ソフトウェア開発支援 | 型理論・意味論 | 情報教育・学習支援システム | プログラミング言語・コードクローン | PBL・IT教育 | 停止性・確率的プログラミング | 生成AI・知識処理 | 並列・分散プログラミング | 動作解析・入力支援 | プログラム変換・可視化 | デモ・ポスター発表セッション

基調講演

基礎研究としての「アプリケーションシステム」
中小路 久美代
(公立はこだて未来大学)

概要: 私はこれまで、人とシステムの間の相互作用を、アプリケーションシステムという形で具現化しながら研究を進めてきました。そこで取り組むシステムのデザインと実装は、人と人工物の関係そのものを対象に、新たな問いや概念を生成していく探究的実践であり、基礎科学や基礎技術の応用には留まりません。しかしながら、こうした研究は「アプリケーション(応用)」という名を持つが故に、その成果がしばしば「応用研究」として扱われ、知の蓄積や理論化としての価値を伝え難いという構造的な問題を抱えています。本講演では、MR環境での歌詞体験、鏡像を通した虚構性の探究、地域史統計表への市民参加という三つのプロジェクトを取り上げ、実践を通してはじめて可能となる基礎的な知の形成について紹介します。基礎技術を組み合わせた応用としてではなく、それ自体が基礎研究でありうるようなシステム構築のあり方を論じます。

Open Space, Open Mind −公立はこだて未来大学の建築空間−
髙田 傑
(公立はこだて未来大学)

概要: 2000年に開学した公立はこだて未来大学は、昨年度4半世紀を迎えました。「情報のネットワークは、人のネットワークである」をメインコンセプトに設計された校舎の建築空間は未だ色褪せることなく、AI時代の到来を迎え、その空間特性をより発揮しているようにさえ見受けられます。今講演では、計画段階の資料や建設当時の記録をもとに、未来大学の空間がいかに構想され、形づくられたのかをご紹介いたします。

基礎研究賞講演

SWEBOK Guideから展望する生成AI・エージェント時代のソフトウェア工学
鷲崎 弘宜
(早稲田大学)

概要: 講演者は、前会長を務めるIEEE Computer Societyが発行するソフトウェア工学知識体系ガイド Guide to the Software Engineering Body of Knowledge(SWEBOK Guide) の編纂をリードしてきた。2024年発行のSWEBOK Guide V4では、アジャイルやDevOpsに加え、アーキテクチャ、セキュリティ、運用、AIとソフトウェア工学の関係など、現代のソフトウェア開発に重要な知識を取り入れている。さらに現在、生成AI・エージェントによるソフトウェア開発の進展を受け、次版V5の開発に着手している。本講演では、SWEBOK Guideの進化を通じてソフトウェア工学の変遷を振り返るとともに、AI・エージェント時代のソフトウェア工学を展望する。特に、コーディングエージェントによる開発の進展や生成AI・エージェントの要求工学、アーキテクチャ設計、実装、品質保証などに及ぼす影響について、講演者の研究成果を交えて解説し、今後のソフトウェア工学のあり方を展望する。

業績賞講演

研究成果はどこへ届くのか ― 学会、製品、OSSコミュニティ
石崎 一明
(日本アイ・ビー・エム)

概要: コンパイラ最適化の研究に取り組んできた30年あまりは、研究成果を届ける先が学会、製品、オープンソースソフトウェアコミュニティへと広がっていった期間でもあった。本講演では、Java処理系、Apache Spark、AIアクセラレータなどを対象とした技術的な背景と、三つの届け先の違いについて述べる。さらに、AIエージェントが与える影響についても議論したい。


応用システム・信頼性

[1a-1-R] 地域小規模団体を対象としたイベントSNS発信支援システムの提案

中村 亮太
(はこだて未来大)
伊藤 恵
(はこだて未来大)

[1a-2-R] AI実況による観戦初心者向けバレーボール観戦支援システムの提案

小澤 日向
(はこだて未来大)
伊藤 恵
(はこだて未来大)

[1a-3-R] 想定外事象へのシステム答責性について

木下 佳樹
(神奈川大)

項書き換えシステム・形式理論

[1b-1-R] 項書き換えシステムに対する逆書き換えの停止性と合流性

岩見 宗弘
(岩手県立大)

[1b-2-R] 定性的に表現された曲線の平面埋め込みにおける自己交差性判定方法の正当性

高橋 和子
(関西学院大)
森口 草介
(科学大)
今井 宜洋
(proof ninja, Inc.)

[1b-3-R] 余帰納的定義に基づく正則項の等価性と単一化

大島 心
(新潟大)
青戸 等人
(新潟大)

プログラミング言語・言語処理系

[1c-1-R] let多相を備えた漸進的型付き段階的計算における実行時型検査

矢口 紘人
(筑波大)
亀山 幸義
(筑波大)

[1c-2-R] 日本語プログラミング言語「プロデル」の言語仕様と実装

馬場 祐人
(個人)

[1c-3-R] 検証指向言語Dafnyで「ちょっと書いて試す」を可能にするループ実装支援に関する考察

吉田 和誠
(広島市大)
川端 英之
(広島市大)

インタラクティブシステム

[2a-1-R] テーマパークナビゲーションシステムにおけるA*アルゴリズムを用いた最短ルート表示機能の実証と評価

上山 大仁
(日本大)
五味 悠一郎
(日本大)

[2a-2-R] 災害時と平時の両状況を想定した落下物報告アプリの実装と検証

櫻井 玲樹
(日本大)
末次 優花
(日本大)
伊東 英幸
(日本大)
五味 悠一郎
(日本大)

[2a-3-R] モバイルモーションキャプチャーを活用したフォーム学習システムの開発

小山田 恭祐
(群馬大)
安藤 崇央
(群馬大)

[2a-4-R] 自己の多様な作業履歴を活用するプログラミング支援環境のデザインと試作

渡部 丈
(はこだて未来大)
山本 恭裕
(はこだて未来大)
中小路 久美代
(はこだて未来大)

形式検証・論理

[2b-1-R] ヒープ操作を含むプログラムに対するトレース論理の拡張

郷 颯真
(名古屋大)
中澤 巧爾
(名古屋大)

[2b-2-R] Rocq上のスマートコントラクト検証フレームワークConCertにおけるLTL論理式による仕様記述と検証支援

諸富 速人
(東北大)
西田 雄気
(東北大)

[2b-3-R] ニューラルネットワークを用いたプログラムの停止性検証のための辞書式ランキング関数推論

朱 光漪
(東京大)
小林 直樹
(東京大)
酒寄 健
(東京大)

[2b-4-T] On Circuit Description Languages, Indexed Monads, and Resource Analysis (トップカンファレンス・トップ論文誌特別講演)

Ken Sakayori
(Univ. of Tokyo)
Andrea Colledan
(Univ. of Bologna)
Ugo Dal Lago
(Univ. of Bologna)

出典:Proceedings of the ACM on Programming Languages, Volume 10, Issue POPL Article No.: 24, Pages 688 - 717 https://doi.org/10.1145/3776666

機械学習工学

[3a-1-R] 深層強化学習型麻雀AIの行動選択に対するFeature Attribution

大倉 功士
(京都大)
和賀 正樹
(京都大)
池渕 未来
(京都大)
末永 幸平
(京都大)

[3a-2-T] Fault Localization of AI-Enabled Cyber-Physical Systems by Exploiting Temporal Neuron Activation (トップカンファレンス・トップ論文誌特別講演)

Deyun Lyu
(Kyushu Univ.)
Yu Li
(Kyushu Univ.)
Zhenya Zhang
(Kyushu Univ.)
Paolo Arcaini
(Nat’l Inst. of Informatics)
Xiao-Yi Zhang
(Univ. of Sci. and Tech. Beijing)
Fuyuki Ishikawa
(Nat’l. Inst. of Informatics)
Jianjun Zhao
(Kyushu Univ.)

出典:Journal of Systems & Software, Vol. 229, November 2025, 112475 https://doi.org/10.1016/j.jss.2025.112475

実行系・コンパイラ最適化

[3b-1-R] リフレクションによる時刻の扱い

鈴木 季
(科学大)
森口 草介
(科学大)
渡部 卓雄
(科学大)

[3b-2-R] 動的プログラミング言語向け共通JITコンパイラ基盤の実装と評価

東間 日向
(芝浦工業大)
福田 浩章
(芝浦工業大)

[3b-3-R] インタプリタにおけるコード配置効果による性能変動のマイクロアーキテクチャ要因分析

高 磊坪
(東京大)
阿部 奏太
(東京大)
鵜川 始陽
(東京大)
塩谷 亮太
(東京大)

ソフトウェア開発支援

[4a-1-R] ベクトル化と機械学習を用いたコメントスメル自動検出手法の精度比較

堂元 優佑
(愛媛大)
佐伯 昌造
(愛媛大)
阿萬 裕久
(愛媛大)
川原 稔
(愛媛大)

[4a-2-R] コードLLMのマスク予測と検索エンジンを活用したネーミングバグ自動検出の試み

徳毛 悠人
(愛媛大)
佐伯 昌造
(愛媛大)
阿萬 裕久
(愛媛大)
川原 稔
(愛媛大)

[4a-3-T] Leveraging Context Information for Self-Admitted Technical Debt Detection (トップカンファレンス・トップ論文誌特別講演)

Miki Yonekura
(Nara Inst. of Sci. and Tech.)
Yutaro Kashiwa
(Nara Inst. of Sci. and Tech.)
Bin Lin
(Hangzhou Dianzi Univ.)
Kenji Fujiwara
(Nara Women’s Univ.)
Hajimu Iida
(Nara Inst. of Sci. and Tech.)

出典:2025 IEEE/ACM 33rd International Conference on Program Comprehension (ICPC), pp. 01-12, 2025. https://doi.org/10.1109/ICPC66645.2025.00018

型理論・意味論

[4b-1-R] A Monad for Classically-Controlled Quantum Computation

Rikiya Kashiwagi
(Kyoto Univ.)
Atsushi Igarashi
(Kyoto Univ.)

[4b-2-R] Answer-Type Modification for Lexical Effect Handlers

Kai Pischke
(Oxford University)
Yaozhu Sun
(Nat’l Inst. of Informatics)
Xu Xue
(The Univ. of Hong Kong)
Taro Sekiyama
(Nat’l Inst. of Informatics)

[4b-3-R] Temporal Algebraic Effect Handlers

Yulong Liu
(Nat’l Inst. of Informatics)
and Taro Sekiyama
(Nat’l Inst. of Informatics)

情報教育・学習支援システム

[5a-1-R] 復習受験機能を実装したSocial Based Testing(SBT)における学習効果の検証

重城 瑞稀
(日本大)
五味 悠一郎
(日本大)

[5a-2-R] 学習項目に応じた訓練用標的型メールの自動生成および個別配信システムの実装と評価

板倉 健将
(日本大)
依田 みなみ
(日本大)
五味 悠一郎
(日本大)

[5a-3-R] プログラミング入門教材と実プロジェクトの間にある文法要素の隔たりの実証分析

福島 和希
(奈良先端大)
嶋利 一真
(和歌山大)
石尾 隆
(はこだて未来大)
松本 健一
(奈良先端大)

プログラミング言語・コードクローン

[5b-1-R] Rustを対象としたType-3のコードクローンの検出手法の提案および評価用データセットの構築

周 隆澤
(芝浦工大)
篠埜 功
(芝浦工大)

[5b-2-R] JavaScriptにおける静的最適化と動的性質の統合と評価

笠 将稀
(明治大)
齋藤 匡
(電通大)
岩崎 英哉
(明治大)

[5b-3-R] 実行時オーバーヘッドなくアクセスできる循環参照を構築するためのRust言語の拡張にむけて

坂本 洸亮
(東京大)
山崎 徹郎
(東京大)
千葉 滋
(東京大)

PBL・IT教育

[6a-1-R] アジャイル型システム開発PBLにおけるスクラム支援手法の検討

小野田 燿
(はこだて未来大)
伊藤 恵
(はこだて未来大)

[6a-2-R] PBL経験の有無に着目したLLMを用いたPBLシミュレータの有用性評価

留目 健太
(はこだて未来大学)
伊藤 恵
(はこだて未来大学)

[6a-3-R] Stack Overflowにおけるリンク分類とベストアンサーの関係分析

瀬澤 勇斗
(立命館大)
槇原 絵里奈
(立命館大)
近藤 将成
(九州大)
吉田 則裕
(立命館大)
井上 克郎
(立命館大)
楊 詩語
(立命館大)

停止性・確率的プログラミング

[6b-1-R] 代数的操作を用いた有限確率モデルの記述と多段階計算による推論コード生成

畠山 竜迅
(東北大)

[6b-2-R] Weakly Non-negative Supermartingales for Omega-Regular Verification

Toru Takisaka
(Univ. of Elec. Sci. and Tech. of China)
Hongjie Qing
(Univ. of Elec. Sci. and Tech. of China)
Libo Zhang
(The Univ. of Auckland)

[6b-3-R] A Hierarchy of Supermartingales for ω-Regular Verification

Satoshi Kura
(Waseda Univ.)
Hiroshi Unno
(Tohoku Univ.)

生成AI・知識処理

[7a-1-R] TIPI-Jに基づく大規模言語モデルを用いたゲームNPC人格対話生成に関する研究

高 信哲
(第一工科大)
小林 篤史
(第一工科大)

[7a-2-R] 物流安全分析における生成AI出力のオントロジーによる構造化と有効性検証

後藤 大征
(九州工大)
鈴木 官優
(九州工大)
峰 和仁
(九州工大)
アッタウィール アハマド
(九州工大)
ユン ジャンソク
(Logistics Revolution Korea Co. Ltd.)
リー ボヨン
(Logistics Revolution Korea Co. Ltd.)
アルマスリ アハメド
(富山県立大)
我妻 広明
(九州工大)

並列・分散プログラミング

[7b-1-R] バックトラックに基づく動的負荷分散の明示的スタックによる実現

寺元 悠馬
(京都橘大)
平石 拓
(京都橘大)
八杉 昌宏
(九州工大)

[7b-2-R] イベントドリブンな分散プログラム向けのコレオグラフィックプログラミング言語の検討

加藤 大翔
(東京大)
山崎 徹郎
(東京大)
千葉 滋
(東京大)

[7b-3-R] コレオグラフィックプログラミングのための漸進的ロケーティングの提案

望月 文香
(東京大)
千葉 滋
(東京大)

動作解析・入力支援

[8a-1-R] 病理診断ガイドアプリケーション用マスタ作成支援システムにおける診断名とコードの自動表示機能の実装

橋本 凌
(日本大)
中西 陽子
(日本大)
飯田 由子
(日本大)
尾上 洋介
(日本大)
五味 悠一郎
(日本大)

[8a-2-R] ベッドメイキング作業熟練者の動作に注目したモーションキャプチャ解析とその展望

鈴木 官優
(九州工大)
相原 明梨
(九州工大)
ウィジェシンゲ ディウヌゲ ブッディカ
(九州工大)
野口 聡馬
(九州工大)
大野 颯真
(九州工大)
加藤 れな
(九州工大)
我妻 広明
(九州工大)

プログラム変換・可視化

[8b-1-R] 熟練CUDAプログラマの手順に倣ったLLMパイプラインによる逐次プログラムのCUDA化に向けて

松本 紘周
(東京大)
山崎 徹郎
(東京大)
千葉 滋
(東京大)

[8b-2-R] プログラム実行過程の理解支援のための流動的参照に注目したデータ構造可視化

林 みなみ
(科学大)
田邉 裕大
(科学大)
増原 英彦
(科学大)

デモ・ポスター発表セッション

[2-P] 深層強化学習型麻雀AIの行動選択に対するFeature Attribution

大倉 功士
(京都大)
和賀 正樹
(京都大)
池渕 未来
(京都大)
末永 幸平
(京都大)

概要: 深層強化学習を用いて実装された麻雀AIは,高い競技性能を達成するようになっている一方で,選択した行動の根拠を人間が理解することは困難な場合が多い.この問題を解決するために,本論文では麻雀AI Mortal の行動選択の根拠を説明する以下の2手法を提案する: (1) 強化学習 AI のための摂動に基づく feature attribution 手法 SARFA を Mortal の入力表現に適用する手法,(2) SARFA の特異度と関連度の定義から導出される近似を用いて,入力特徴量の勾配からスコアを計算する手法.Mリーグ2025--2026シーズンの牌譜から抽出した1,004行動時点で両手法を評価した結果,勾配法は説明単位全体の重要度順位とスコア符号において摂動法の近似に利用できる一方,最大スコアを持つ説明単位の一致率は17.5%にとどまった.勾配法は全1,004行動時点で摂動法より高速であり,平均計算時間を約8分の1に短縮した.

[3-P] 想定外事象へのシステム答責性について

木下 佳樹
(神奈川大)

概要: 総合信頼性に求められる性質の一つに,システム答責性 (system accountability) つまり説明責任遂行能力がある.答責遂行には契約遂行が含まれるが,それだけではない.想定外の事象への対処は契約に含まれないが,答責遂行の一部としてステークホルダによって求められることが多い.しかしそれは,契約によって強制されることではありえない.想定外のことは契約に含まれないからである.契約に含まれないことを求める根拠をどこに置くのか.この「想定外事象のシステム答責性問題」を解決するようなシステム答責性の構造を提示するのが本論文の目的である.さらに,この答責性構造をシステムライフサイクル活動として実装し,システム工学以外の分野に見られる幾つかの答責性構造と比較して,我々の構造の妥当性を考察する.我々の構造では,システムの「答責遂行 (説明責任遂行,account)」には,明示された合意を行動によって実施する「契約遂行 (respond)」だけではなく,システムについての客観的な「状況把握 (grasp)」と説明が必要であり,両者を明確に区別する.そして,答責遂行は,これらを相互に関連づける活動,具体的には状況把握を改善のための新たな契約に繋ぐ活動を,両者に加えたものである.想定外事象に対して求められるべきシステム答責性活動は,状況把握とそれを新たな契約に繋ぐ活動であり,それらは当初の契約遂行とは独立に行われるものである,というのが,想定外事象のシステム答責性問題への我々の解答である.

[4-P] TIPI-Jに基づく大規模言語モデルを用いたゲームNPC人格対話生成に関する研究

高 信哲
(第一工科大)
小林 篤史
(第一工科大)

概要: 近年、大規模言語モデル(LLM)を利用したゲームNPC対話生成に関する研究が活発に行われている。一方で、同一の人格設定を用いた場合でも、利用するLLMによって人格表現の特徴が異なる可能性があるが、同一条件下で比較・分析した研究は少ない。本研究では,TIPI-Jに基づく人格モデルを用いてNPCの人格を設定し、対話プロンプト、評価シナリオおよび評価方法を統一した条件で、DeepSeek、Gemini、Claudeを用いた対話生成実験を実施した。各モデルについて100回の対話実験を行い、NPCの人格一致率を評価した。その結果、LLMごとに人格表現の特徴や一貫性に違いが見られた。本研究は、LLMを用いたNPC対話生成における人格表現の特徴を比較・分析し、NPC設計に関する基礎的知見を提供することを目的とする。

[5-P] インタプリタにおけるコード配置効果による性能変動のマイクロアーキテクチャ要因分析

高 磊坪
(東京大)
阿部 奏太
(東京大)
鵜川 始陽
(東京大)
塩谷 亮太
(東京大)

概要: 広く利用されるインタプリタの実行性能向上は、重要な課題である。プログラムは、ソースコードを変更せずとも、関数や基本ブロックのバイナリ上の配置(コード配置)を最適化することで高速化できる。特に、間接分岐やループ処理を多用するインタプリタは、コード配置の影響を強く受ける。先行研究では、インタプリタのハンドラ順序を遺伝的アルゴリズムで最適化し、平均7.7%の性能向上を達成した。しかし、この手法は実行時間のみを評価しており、性能改善のメカニズムは解明されていない。そのため、計算コストの高い探索に依存せざるを得ず、さらなる性能向上や最適化プロセスの効率化が困難となっている。そこで本研究では、マイクロアーキテクチャの観点から性能変動の要因を分析する。初期評価から、ハンドラや分岐の命令アドレス配置に起因する、小容量の命令キャッシュや分岐先バッファ(BTB)での競合が示唆されている。今後は、これらのボトルネックを詳細に特定し、新たなコード配置最適化手法の開発につなげる。

[6-P] Temporal Algebraic Effect Handlers

Yulong Liu
(Nat’l Inst. of Informatics)
Taro Sekiyama
(Nat’l Inst. of Informatics)

概要: Software frequently performs actions whose order matters, such as mutating states, raising exceptions, or communicating with external devices. To make this behavior explicit at the type level, temporal effect systems are used to reason about which actions may occur and the order in which they may occur.Prior approaches on effect systems describe such behavior through a single sequence of actions, therefore do not preserve the choices and branches that arise during execution. This limitation poses a problem for languages that support effect handlers. Effect handlers can reinterpret, remove, or resume operations in ways that branch and restructure future execution, making sequences difficult to compose and analyze.To address the limitation, we present a novel framework that uses a tree-shaped structure, capturing branching executions in a single model. We demonstrate the usefulness of our work via examples including handling arithmetic errors, ensuring opened files are always closed, and nondeterminism.

[7-P] 検証指向言語Dafnyで「ちょっと書いて試す」を可能にするループ実装支援に関する考察

吉田 和誠
(広島市大)
川端 英之
(広島市大)

概要: 形式検証向けプログラミング言語Dafnyでは手続型プログラムの検証ができるが,ループを実装するにはループ不変条件の明記が必須で,「少し書いて動かしながら整える」というインクリメンタルな開発を好むプログラマにとって敷居が高い.これに対し本研究では,Dafnyプログラムにおいて,あたかもループを実行して試すようなやり取りでガードやループボディの妥当性を確かめながら実装を進められるユーザ支援環境の実現方式を検討している.本方式では,ユーザがループ不変条件を与えられなくてもループの実行結果に対して望む条件を徐々に書きながら使えるように,ループを再帰関数に変換して検証する.簡単なループの場合にはCHCへの変換とSpacerによる解析によりループ不変条件を自動導出する.本発表では,VSCodeプラグインとして実装したプロトタイプの機能を紹介しながら,ユーザ支援環境に求められる事項について議論する.

[11-P] 構文木処理を支援するTreeMatchLib向け木マッチパターン記述の対話型試行環境

田邊 拓人
(東京都市大)
渡辺 晴美
(東海大)
小倉 信彦
(東京都市大)

概要: 本研究ではTreeMatchLibにおける木マッチパターン記述を支援する対話型試行環境TreeMatch Playgroundを提案する.プログラミング言語処理の,再帰的な構造を持つ構文木の処理は複雑になりやすく,これまで様々な支援手法やツールが提案されてきた.TreeMatchLibでは,木マッチパターンを用いて構文木の探索や抽出を簡潔に記述できる.しかしながら,文法の複雑さや対象の構文木の規模よって,対象を把握しつつ正しいパターンを書くのは困難になりがちである.本研究では,マッチ結果やキャプチャをリアルタイムに構文木上へ可視化する支援機能などによって,対象木,パターン,結果の対応関係を,視覚的に理解しながらパターン記述を対話的に試行できる支援環境を実現する.利用者を対象とした評価実験を通して,正解率,解答時間および主観評価の観点から提案環境の有効性を示す.本発表では提案環境のデモを行う.

[12-P] 逆強化学習を用いた人間らしい挙動を再現するゲームAI

小林 篤史
(第一工科大)

概要: 近年の強化学習AIはゲームやロボット分野で高い性能を発揮しているが、その挙動は必ずしも人間らしいものではない。単に勝利を目的とする動作は時に不自然で、学習済み方策が人間の直感や戦略とは乖離することが多い。これを人間に近い行動をさせる方法として逆強化学習がある。そこで本研究では、逆強化学習を用いて、人間プレイヤーの操作データから暗黙的に存在する報酬構造を推定し、自然で合理的な挙動を学ぶAIを作成する。これにより、人間と共存・共闘可能なゲームAIの実現を目指す。

[13-P] マルチAIエージェント分析における多数決の情報損失と選択的少数派提示

藤田 渉
(三菱電機)
八田 俊之
(三菱電機)
奥田 勝己
(三菱電機)

概要: 大規模言語モデル(LLM)の出力を複数回サンプルして多数決で集約する手法は,算術推論タスクやコード生成タスクで成功を収めてきた.しかし,妥当な回答が複数存在するデータ分析タスクに対する有用性は十分に検証されていない.本稿では,データ分析ベンチマークBLADEの12 データセットに対し,各データセットで分析を10 回独立に実行し,意味的に同一の分析方法をまとめた409のクラスタを専門家の正解(GT)と照合することで,専門家が妥当と認める分析方法を多数決がどれだけ提示するかを評価した.その結果,多数決による専門家GTの回収率(Recall)は55.6%であり,残る44.4%は提示されない問題があることを確認した.また,この問題は特定のLLMのモデルファミリーやシングル/マルチエージェントの構成に固有ではないことがわかった.本稿ではこの問題に対し,多数決で選ばれる多数派の分析方法の種類が少ない場合に,少数派の分析方法を追加提示する方式を提案する.提案手法により,少数派を最大5件追加することでRecall を約16 ポイント改善した.

[14-P] 熱延⼯場における⾳響現象に注目した特徴音の抽出と発生時刻推定の試み

栗屋 大河
(九州工大)
井上 穂大
(九州工大)
井波 治樹
(TMEIC)
伊藤 奨
(TMEIC)
広明 我妻
(九州工大)

概要: 本研究では,鉄鋼熱延⼯場における⾳響現象に注目し,工場内で定常的に発生している環境音に対して,特徴音を抽出する音響分析システムの構築を目指し,混在音響信号から特徴音を分離し特徴音発生時刻を推定する手法を提案し、混在音響信号の疑似データによりその特性を評価した。この擬似データでは,特徴音を混入させた時刻が既知であることから,検知可能な特徴音の音圧レベルや混在した環境音の種別などを定量的に分析できると考える.

[15-P] 自己教師あり学習を用いた洗浄剤の転移学習 ―役割分担型LLMフローによる組成生成と特徴転移―

井上 明典
(ライオン)

概要: 本研究では、少量データ条件での転移学習に用いる元ドメインデータを、LLMで効率的かつ高度に生成する手法と有用性を報告する。先行研究では、浴室洗浄剤の品質発現機序を制約として、対話型チャット上でLLMが生成した組成を元ドメインに用いることで、転移学習モデルの品質予測性能の向上可能性を示した。一方、この方式は、対話型インターフェースに依存するため、体系的かつ大規模な組成生成への展開が困難であった。そこで、LLMをAPI経由で呼び出す自動生成フローを構築するとともに、研究員が品質発現機序の仮説を立案し、それに基づき組成を設計するプロセスに着目して、両処理を独立したLLM呼び出しに分担させた。生成組成による転移学習モデルを評価した結果、従来の仮説生成を伴わない単一呼び出し型と比べ、高い予測性能を示す傾向が認められた。以上より、役割分担型LLMフローが、転移学習用元ドメインデータの生成高度化に寄与する可能性が示唆された。

[16-P] 論理制約付き項書き換えシステムおける到達可能性の循環証明体系の基礎付けについて

田中 広靖
(新潟大)
青戸 等人
(新潟大)

概要: 項書き換えシステム(TRS)は等式論理に基づく計算モデルである。TRSの書き換え規則を論理制約付きの書き換え規則に拡張して得られるのが、論理制約付き項書き換えシステム(LCTRS)である。論理制約はモデル上の制約式であり、これによりLCTRSでは通常のTRSでは取り扱いの難しい整数などの組み込みデータ構造を扱うことができる。LCTRSの書き換えを用いた制約項上の到達可能性を証明するための循環証明体系が与えられている(Ciobâcă and Lucanu, 2018)。論文では、到達可能性を余帰納的に定義するとともに、循環証明法の基礎となっている命題に、余帰納法に基づく証明を示している。しかし、その証明にはギャップがあり、そのため体系の正しさは必ずしも自明ではない。そこで、本ポスター発表では、前述の命題について、正しい証明を構成するため、命題の言明をどのように修正すればよいか検討し、その修正案を2つ報告する。第1案については、2つの到達可能性の特徴づけの等価性を証明することができた。第2案については、2つの特徴付けについて片方向の含意関係を示すことができた。本研究の今後の課題としては、これらの修正にもとづき、制約項上の到着可能性を証明するための正しい循環証明体系を考案することがある。

[17-P] 固定情報源条件と実環境における生成AI引用の比較:日英対訳1000クエリによる測定条件の検討

池田 大志
(サイバーエージェント)
小比田 涼介
(サイバーエージェント)

概要: 生成エンジン最適化(GEO)研究では、情報源を固定してLLMに与え、引用率や可視性を測る実験設計が用いられる。本発表では、日英対訳1000クエリについて、5つのWebページのみを与えたGeminiの回答と、AI Overview・オーガニック検索結果を比較した。固定条件では各情報源の引用率は約80〜84%と高く、候補として与えられた情報源の多くが引用された。一方、実環境では、少なくとも1つのAI Overview引用先ドメインがオーガニック検索結果にも現れる割合は英語98.0%、日本語91.7%だった。両者は引用前の情報源集合の形成条件が異なるため、観測された「引用されやすさ」を同一に解釈できるとは限らない。本発表では、この測定条件の差異を整理し、GEO評価における引用指標の解釈を検討する。引用元の一致・不一致を対話的に確認できるデモも提示する。

[18-P] 部分性または非決定性を許すモノイドと部分的半群との関係

若杉 優汰
(神奈川大)
西澤 弘毅
(神奈川大)

概要: ある集合のべき集合で完備上半束が与えられている単位的クオンテールをべき集合クオンテールと呼び,そのべき集合クオンテールを対象とした圏をPQtという.既存研究では,部分性を許さない二項関係の圏Total内のモノイドの圏と,劣乗法的べき集合クオンテールの圏であるSMPQt,非決定性を許さない二項関係の圏Univ内のモノイドの圏と,整域的べき集合クオンテールの圏であるIPQtがそれぞれ同型であることが明らかになった.さらに半群の二項演算の代わりに部分性を許す演算を用いた代数構造を部分的半群といい,その部分的半群を対象とした圏をPSGという.PSGに制限を加えた圏をUPSGdivといい,既存研究ではPQtとUPSGdiv間の関係が明らかになった.本研究では,関手で写されるとSMPQtまたはIPQtに属するような,UPSGdivの対象や射の特徴付けを明らかにする.

[19-P] 異常検知技術を用いた3種類の音色に対応するギター演奏差分検知手法の提案

張 岩
(はこだて未来大)
家常 友詩
(はこだて未来大)
能登 楓
(函館工業高専)
竹川 佳成
(はこだて未来大)

概要: 本研究では,エレキギター演奏における演奏差分を検出することを目的として,3種類の音色に対応した画像ベースの異常検知手法を提案する.先行研究では,ピアノ演奏を音響特徴量画像に変換し,異常検知手法を適用することで,模範演奏と学習者の演奏との差異を検出してきた.しかし,エレキギターではクリーンや歪みなど音色によってスペクトル構造が大きく変化するため,音色によるスペクトル構造の変化に対しても検出性能が維持されることが重要である.そのため,異なる音色に対して同様の異常検知手法がどの程度有効であるかを検証する必要がある.そこで本研究では,同一のMIDI演奏データに対して,クリーン音色を含む3種類のエレキギター音源を用いて音色を付与し,音色以外の演奏条件を統一した音響データを作成する.さらに,各音響データからメルスペクトログラム,CQT,クロマベクトルの3種類の音響特徴量を抽出し,一定の時間区間ごとに画像化する.実験では,正常演奏データを用いて異常検知モデルを学習させ,模範演奏データに対して人工的に発音タイミングずれを付与したテストデータを用いて検証を行う.使用したMIDI演奏データについては音色についての比較のため,ギター特有の演奏手法は入っていないものとする.本実験では,3種類の音色それぞれについて演奏差分の検知精度を評価するとともに,メルスペクトログラム、CQT、クロマベクトルの各音響特徴量が有する特性および有効性を分析する.これにより,音色の違いが異常検知精度に与える影響を明らかにし,異なる音色に対応したエレキギター演奏差分検知手法の有効性を検証する.

[20-P] ワンショット継続を持つコントロールオペレータのマクロ表現可能性

小林 賢太朗
(筑波大)
亀山 幸義
(筑波大)

概要: 本発表では、捕捉した継続を高々一度しか使用できない「ワンショット継続」を持つコントロールオペレータの表現力を理論的に比較する。多くのコントロールオペレータに対する理論的研究が、捕捉した継続を複数回使用できる「マルチショット継続」を対象としてきた。これに対しワンショット継続は、実行効率・検証のしやすさ・表現力のバランスから近年注目を集めているが、その理論的基盤については十分に検討されてこなかった。そこで本研究では、この理論的基盤を表現力の観点から与えることを目的とし、Felleisenのマクロ表現可能性による表現力の比較を行った。その結果、ワンショット・エフェクトハンドラおよびワンショット限定継続演算子が、非対称コルーチンによってマクロ表現可能である一方、逆は成り立たないことが分かった。本発表では、国際会議APLAS2025で発表した上記の結果を踏まえ、その後の進展および今後の課題を報告する。

[21-P] 人手なしで作る分析エージェントの模試:POS分析のオフラインシミュレーション

小比田 涼介
(サイバーエージェント)
坂田 将樹
(東北大)
澤木 陽人
(サイバーエージェント)
村脇 光洋
(サイバーエージェント)
早川 裕太
(サイバーエージェント)

概要: データ駆動の意思決定を支える基盤として、分析作業を自動化する分析エージェントの重要性が高まっている。しかし、分析の良否は容易に測定できず、その結果として、背後で分析を担うエージェントの改善サイクルを回すことが難しいという課題がある。本研究では、分析の手順および結果の良否をオフラインで評価するためのシミュレーション環境として、小売POSデータの分析を対象とした分析模試の構築を試みている。本手法は、分析エージェントに網羅的な分析を実行させると、その過程に良質な手順や解が含まれることが多い、という観測に基づく。すなわち、まず網羅的に分析を行わせ、最終的に到達した解に対して、その解に必要な情報と手順のみを事後的に抽出することで、評価用のデータセットを構築する。これにより、分析の良否に加え、エージェントがつまずきやすい局面、良好に機能する条件、および所要コストを事前に見積もることを目指す。本ポスターでは、こうした分析模試の構築方法と、その上での予備的な検証結果を共有する。

[22-P] 物語言説を利用した大規模言語モデルによる小説書き換えシステムにむけて

髙橋 利孔
(はこだて未来大)
伊藤 恵
(はこだて未来大)
新美 礼彦
(はこだて未来大)

概要: 本研究では,大規模言語モデルを用いて,小説の物語内容を可能な限り保持しながら,物語言説を指定して文章を書き換えるシステムを試作する.提案システムでは,焦点化,距離,持続,人称などの物語言説上の特徴を分析し,利用者が変更したい特徴をUI上で指定することで,その設定に基づいた書き換えを生成する.さらに,原文と生成文の比較や分析結果を提示することで,書き換えによる変化を確認できるようにする.デモを通じて,物語言説を利用したLLMによる小説書き換えの可能性と,創作・分析支援システムとしての有用性について議論する.

[23-P] Failure-Guided Repair of a Structured Spec-to-RTL Agent Workflow on a DCT Module

Yuri Guimaraes Pereira Primo da Silva
(Nagoya Univ.)
Shinya Honda
(Nagoya Univ.)
Sugako Otani
(Nagoya Univ.)
Koki Okada
(Nagoya Univ.)

Abstract: Register-transfer level (RTL) generation requires hardware-specific correctness constraints that differ substantially from those in conventional software development. Structured multi-agent workflows such as Spec2RTL-Agent have demonstrated specification-to-RTL generation using frontier LLMs, but whether these workflows transfer effectively to smaller, locally deployable models remains unclear. We implement a Spec2RTL-Agent-based workflow on a discrete cosine transform module targeting Vitis HLS and evaluate two models with 35B and 31B parameters across repeated runs. Neither model completes the original workflow successfully. Through failure analysis, we identify three interacting causes: redundant planning, numerical reasoning errors, and unreliable testbench generation. We address each failure independently through localized harness interventions, achieving successful execution when all three interventions are combined. The repaired workflow completes successful runs in approximately two minutes using 29,000 tokens, whereas unsuccessful baseline runs consume 77–117 minutes and 0.8–1.3 million tokens before exhausting their budgets. Based on this case study, we propose a failure-guided methodology for diagnosing structured agent workflows through isolated interventions and systematically combining the resulting fixes.

[24-P] MN-Coreアセンブリ言語の形式意味論のためのテストフレームワークの構築

塩入 君道
(電通大)
中村 元昭
(電通大)
佐藤 重幸
(電通大)

概要: 深層学習向けプロセッサであるMN-Coreにはアセンブリプログラムの行数が実行時間に概ね比例する特徴があり,より短いプログラムへの書き換えが重要である.我々は,同アセンブリ言語の形式検証を可能にするため,そのサブセット言語をK Framework上で形式化してきたが,その形式意味論と実際のMN-Coreエミュレータの実装を機械的に比較する仕組みは整備されていなかった.本研究では,テストケースを作成するとともに,その入力プログラムを形式化された意味論とエミュレータで実行して結果を比較できるテストフレームワークを構築した.提案フレームワークによって,新たに形式化した部分をその都度エミュレータの挙動と手軽に比較できるようになり,更に,ファジングなどのテスト自動化技術との連携も可能になる.

[25-P] 地域防災計画の文書構造化が生成AIの質問応答に与える影響 – 長崎県地域防災計画を事例として –

木下 修司
(長崎県立大)
松口 裕一郎
(長崎県立大)

概要: 発表者らは従前より、災害対策基本法によって各都道府県や市区町村に策定が義務づけられている行政文書「地域防災計画」を対象に、その適切な記述法や検索・編集の効率化について研究を進めている。特に、2022-2024年度には東京都との共同研究で、東京都地域防災計画を検索・編集するWebアプリケーション開発を実施し、当時急速に普及が進んでいた生成AIの活用についても知見を得た。加えて、近年は大規模文書を単純に生成AIに学習させても、質問応答についてよい性能がでないという課題が知られており、これを解決するための文書構造化の重要性に注目が集まっている。本研究では、長崎県地域防災計画を対象とした生成AIの質問応答に関する基礎的な調査結果を紹介しつつ、今後を展望する。

[26-P] Recognizing Böhm-Jacopini Graphs

Danel Batyrbek
(Univ. of Tsukuba)
Yukiyoshi Kameyama
(Univ. of Tsukuba)

Abstract: We extend the initial approach by Bento et al. for recognizing Dijkstra Graphs (D-graphs) to a new class of graphs called Böhm-Jacopini Graphs (BJ-graphs), while addressing theoretical gaps in their original work. D-graphs represent programs that are structurable using basic control-flow structures, such as sequencing, selection and repetition. However, it is known that using only those three control schemas without additional control-flow operators, such as breaks, is impossible to represent every control-flow graph. For this reason, we focus on BJ-graphs, which are an extension of D-graphs with addition of single-level loop escape mechanism known as break. This is a preliminary and intermediate work in the overall goal of decompilation of heavily optimized C programs.

[27-P] 長期間稼働Wasmプロセスを対象としたソフトウェア若化手法の検討

中村 碧那
(はこだて未来大)
藤井 大悟
(はこだて未来大)
中田 裕貴
(さくらインターネット/はこだて未来大)
松原 克弥
(はこだて未来大)

概要: 近年、WebAssembly(Wasm)は従来の短命なタスク処理にとどまらず、コンテナに代わる軽量な隔離環境としてクラウドコンピューティングをはじめとする長期間稼働アプリケーションへの適用が進んでいる。しかし、Wasmの仕様上、リニアメモリは領域拡張のみが定義されており縮小が不可能であるため、長期間の稼働にともないメモリ浪費が進む問題がある。さらに、Wasm環境ではアプリケーション層だけでなく、Wasmランタイム層(JITコードや内部状態の蓄積)のエージングにも対処する必要がある。本研究では、長期間稼働するWasmプロセスを対象としたチェックポイント・レストア(C/R)にもとづくソフトウェア若化手法を検討する。先行研究で開発したWasmランタイムのC/R機構を活用し、レストア時のメモリ復元をページ単位のオンデマンドで行う。これにより、初期化処理後に不要となったデータ領域や、FastインタプリタやJITコンパイラが生成した一時的なコード領域などが物理メモリを占有し続ける課題を解決する。評価実験を通して、提案手法の実行オーバーヘッドと物理メモリ削減における有用性を示す。



組織委員

大会委員長: 伊藤 恵 (公立はこだて未来大学)
運営委員長: 石尾 隆 (公立はこだて未来大学)
運営副委員長: 松原 克弥 (公立はこだて未来大学) ,奥野 拓 (公立はこだて未来大学),長崎 健 (公立はこだて未来大学)
プログラム委員長: 福安 直樹 (大阪工業大学)
プログラム副委員長: 本田 澄 (大阪工業大学),松田 一孝 (東北大学)
大会担当理事: 海野 広志 (東北大学),伊藤 恵 (公立はこだて未来大学)
アンチハラスメント担当委員:奥野 拓 (公立はこだて未来大学),槇原 絵里奈 (立命館大学)

プログラム委員

阿萬 裕久 (愛媛大学; FOSEコーディネータ)
石井 大輔 (北陸先端科学技術大学院大学; 同時投稿論文コーディネータ)
伊藤 恵 (公立はこだて未来大学; 大会担当理事)
海野 広志 (東北大学; 大会担当理事)
大囿 忠親 (名古屋工業大学; MACCコーディネータ)
栗原 聡 (慶應義塾大学; EINコーディネータ)
小出 洋 (九州大学; rePiTコーディネータ)
沢田 篤史 (南山大学; ソフトウェア論文コーディネータ)
杉山 阿聖 (Citadel AI; MLSEコーディネータ)
宋 剛秀 (名古屋大学; 同時投稿論文コーディネータ)
塚田 浩二 (公立はこだて未来大学; ISSコーディネータ)
日高 宗一郎 (法政大学; PPLコーディネータ)
福安 直樹 (大阪工業大学; プログラム委員長)
本田 澄 (大阪工業大学; プログラム副委員長)
前田 俊行 (千葉工業大学; DSWコーディネータ)
松田 一孝 (東北大学; プログラム副委員長)